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コラム 乳房再建術の費用

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乳房再建の実際―きっかけと費用―

モデルケース① 会社員Aさん(38歳、独身)、一次再建の場合

私は勤務先で行う健康診断の一環で乳がん検診を受け、“乳がんの疑いあり”と判定されました。乳腺外科と形成外科のある大きな病院に行き、精密検査を受けたところ、早期の乳がんと診断されました。それから、本やインターネットで乳がんのことを調べ、乳房を切除しても再建という方法があることや、シリコン製の人工乳房を使った再建術にも、最近、健康保険が適用されるようになったことを知りました。

その後、精密検査を受けた病院で乳がんの手術を受けることになりました。私の場合幸いなことに再発の危険性が少なく、乳房切除術と乳房再建を同時に行う一次再建が可能であると、医師から説明を受けました。「乳房を失いたくない」と考えていたので、一次再建を受けることに決めました。

まず1回目の入院は9泊10日で、乳がんの手術からティッシュ・エキスパンダーの挿入まで行いました。費用は、乳がんの手術だけでも高額療養費制度の対象となることがわかっていたので、事前申請を行ったため、窓口で実際に支払った合計額は約9万円でした。ちなみに健康保険適用の3割負担での費用は約26万円になるそうですが、事後でも高額療養費制度を利用すれば26万円から9万円を差し引いた額が還付されるそうです。

最初の手術から3ヵ月後、ティッシュ・エキスパンダーを人工乳房に入れ替えるときは1泊2日の入院をして、窓口負担額は約11万円でしたが、高額療養費制度を利用して実質負担額は8万円程度でした。

Aさんの入院費用(概算)
健康保険適用(3割負担) 高額療法費制度の利用後注)
乳房切除術+
エキスパンダー挿入
(エキスパンダー挿入を
除いた場合の費用)
約26万2千円
(約20万円)
約9万3千円
(約9万2千円)
人工乳房に入れ替え 約11万円 約8万1千円
モデルケース② 主婦Bさん(58歳、専業主婦)、二次再建の場合

私は43歳の時に乳がんと診断され、乳房の全摘手術を受けました。その後、ホルモン療法を5年間受け、1年に一度のペースで乳がん検診を受け続けていますが、現在に至るまで再発などの異常は認められていませんでした。

乳がんの手術をした15年前は、家事や育児に忙しく、乳房再建のことを考える余裕などありませんでしたし、高額な費用がかかると思っていました。ところが、最近ニュースや新聞で乳房再建には健康保険が適用されることを知って気になっていました。検診のときに主治医の先生に聞いてみたところ、自分の体の組織を使う再建よりも、人工乳房を使った乳房再建のほうが体に負担が少ないことも知りました。

体力がある今のうちに乳房を取り戻して、孫と温泉に行ったり、夫が定年になったら一緒に旅行したり、まだまだ人生を楽しみたいと思い、人工乳房による再建を受けることに決めました。最初の入院は3泊4日で、ティッシュ・エキスパンダーを挿入しました。夫の健康保険が適用され、自己負担額(3割)は9万円弱となりましたが、高額療養費制度の手続きをしたところ、入院中の食費を含めた実質的な自己負担額は約8万円となりました。

半年後にも、3泊4日の入院をして、ティッシュ・エキスパンダーを人工乳房に入れ替える手術を受けました。このときは高額療養費制度の事前申請をしたため、支払窓口での自己負担額は約8万円で済みました。

Bさんの入院費用(概算)
健康保険適用(3割負担) 高額療法費制度の利用後注)
エキスパンダー挿入 約9万円 約8万3千円
人工乳房に入れ替え 約12万5千円 約8万1千円
注)高額療法費制度とは
70歳未満で、所得区分が「区分ウ」(月収28~50万円)の場合、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額(健康保険適用で3割負担)が80,100円を超えた場合に適用の対象となり、その自己負担限度額は
80,100円+(医療費―267,000円)×1%
です。詳しくは全国健康保険協会のウェブサイトをご覧ください。
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<参考・協力>福田 護ほか:ピンクリボンアドバイザー認定試験公式テキスト
『ピンクリボンと乳がんまなびBOOK』発行/社会保険出版社 発売/主婦の友社,2013