
乳がんのサブタイプ
乳がん細胞がもつ遺伝子の特徴によって、乳がんを分類したものを「サブタイプ」と呼びます。サブタイプは手術前や手術後に行われる病理検査(組織診)で、がん細胞の表面にあるタンパク質を調べて判定されます。基本的には、ホルモン受容体注1)、HER2(ハーツー)タンパク注2)、増殖能注3)の組み合わせによって、表に示すように大きく5つのサブタイプに分類できます。
このサブタイプに基づいて、ホルモン療法(内分泌療法)や抗がん剤療法(化学療法)、分子標的療法(抗HER2療法)などの薬物療法が選択されます。
ホルモン受容体陽性 | ホルモン受容体陰性 | ||
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HER2陰性 | 低増殖能 | ルミナールAホルモン療法 | トリプルネガティブ抗がん剤療法 |
高増殖能 | ルミナールB(HER2陰性)ホルモン療法 + 抗がん剤療法 | HER2タイプ抗がん剤療法 + 分子標的療法 | |
HER2陽性 | ルミナールB(HER2陽性)ホルモン療法 + 抗がん剤療法 + 分子標的療法 |
- 注1)
- 女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、乳がん細胞を増殖させると考えられています。がん細胞の表面にこれらホルモンの分子と結合する
受容体がある場合、ホルモン受容体陽性(またはホルモン感受性)と呼ばれます。 - 注2)
- 乳がん細胞を増殖させるタンパク質のことです。
- 注3)
- Ki-67というタンパク質が多いほど、がん細胞は増殖する能力(増殖能)が高くなります。
<参考・協力>福田 護ほか:ピンクリボンアドバイザー認定試験公式テキスト
『ピンクリボンと乳がんまなびBOOK』発行/社会保険出版社 発売/主婦の友社,2013