インプラントによる乳房再建の留意点
インプラントによる乳房再建では、以下のような留意点があります。手術を受ける前によく理解し、納得することが大切です。
①合併症のリスク
BIA-ALCLは主に、表面がザラザラとしたテクスチャードタイプのインプラントを使用した症例で報告されています。
ほとんどの場合、インプラントとその周辺の組織を取り除くことで治癒しますが、病変がインプラント周辺組織を超えて広がった場合、まれに死亡例が報告されています。早期発見・早期治療のため、セルフチェックと定期検査の継続が大切になります。
BIA-ALCLについて、より詳しい情報をお知りになりたい方は、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会のホームページ*が参考になります。
*:一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会:
乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)についてよくあるご質問(2022年2月)(http://jopbs.umin.jp/general/docs/20220218_patient_faq_kakutei.pdf)(アクセス:2024年8月)
<参考・協力>福田 護ほか:ピンクリボンアドバイザー認定試験公式テキスト 『ピンクリボンと乳がんまなびBOOK』
改訂版第2刷発行. 発行/社会保険出版社 発売/主婦の友社,p.92,2019
一般社団法人 日本形成外科学会 編. 患者さんと家族のための乳房再建ガイドブック, 医歯薬出版株式会社. p.53-54,2024
②メンテナンス
- インプラントによる乳房再建後は、インプラントが入っている限り、超音波かMRIによる定期的な検診が必要です。(通常、1年に1回程度)インプラント挿入部に赤み、腫れ、しこり、痛みなどの異常を自覚した場合は、次回の検診日を待たずに形成外科を受診してください。
- インプラントは時間とともに状態が変化していき、将来的には交換や摘出が必要となる可能性があります。インプラントの耐久性は治療内容や患者さんの健康状態やライフスタイルにより異なります。
<参考・協力>福田 護ほか:ピンクリボンアドバイザー認定試験公式テキスト 『ピンクリボンと乳がんまなびBOOK』
改訂版第2刷発行. 発行/社会保険出版社 発売/主婦の友社,p.93,2019
一般社団法人 日本形成外科学会 編. 患者さんと家族のための乳房再建ガイドブック, 医歯薬出版株式会社. p.78,2024
③放射線療法の影響
乳がんの手術後に放射線療法を受けた場合は、皮膚が弱く、伸びにくくなるため、インプラントによる乳房再建では形のよい乳房に仕上がらないことがあります。また、血行が悪くなるため、皮膚壊死などの皮膚障害を起こしやすくなります。このような理由で、放射線療法後のインプラントによる乳房再建は難しいとされていますが、できない訳ではありません。専門の形成外科医に相談しましょう。
<参考文献>日本乳癌学会編:患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q.22, 金原出版.を参考に作成(https://jbcs.xsrv.jp/guideline/p2023/gindex/40-2/q22/)(アクセス:2024年8月)
④インプラントによる乳房再建を受けられる施設
保険適用のエキスパンダーとインプラントを使った乳房再建術は、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会の認定を受けた施設でのみ受けられます。認定施設の一覧は同学会のウェブサイト*に公開されています。
認定施設のなかでも手術後の写真を提示してくれる、リスクを含めよく説明してくれるなど、信頼できる施設を選ぶことが大切です。
お近くの施設の一部については、本サイトの病院検索でお調べいただけます※。
※本サイト掲載の許可を得られた施設のみ掲載しています。
*:一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会:(http://jopbs.umin.jp/general/index.html)
(アクセス:2024年8月)