健康保険の適用と費用の目安
長い間、乳房再建に健康保険が適用となるのは、自家組織による乳房再建のみでした。
2013年7月から、乳がんで乳房切除術(全摘術)を行った患者さんに対する乳房再建に限り、健康保険の適用下で使用できることになりました。
2018年の診療報酬改定において、『乳腺腫瘍に対する乳房切除術』が追加され、葉状腫瘍などの良性腫瘍で、乳房切除術(全摘術)を受けた方も、インプラントによる乳房再建が保険適用となりました。
2020年の診療報酬改定において、『遺伝性乳癌卵巣癌症候群患者に対する乳房切除術』が保険適用となり、それに伴う乳房再建も保険で行えるようになりました。
インプラントによる乳房再建の費用も、健康保険の適用により30~40万円程度で受けられるようになりました(実際の負担は高額療養費制度の上限までです)。その結果、下記の表のように、すべて保険適用の製品を使った場合、エキスパンダーの挿入を含めたインプラントによる再建の費用は、自家組織による再建の費用と大差がなくなりました。乳房再建術を検討するうえで、インプラントによる再建の費用のハードルが下がったことは、患者さんにとって朗報といえるでしょう。
入院・手術費用の目安(健康保険、3割負担の場合)
※手術方法、入院期間、医療機関によって異なります。
<参考・協力>福田 護ほか:ピンクリボンアドバイザー認定試験公式テキスト 『ピンクリボンと乳がんまなびBOOK』
改訂版第2刷発行. 発行/社会保険出版社 発売/主婦の友社,p.93,2019