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乳がんの治療

放射線療法

乳がんの術後療法としての放射線療法は、主に乳房温存手術の後に行われます。温存した乳房に残った可能性のあるがん細胞を、放射線を照射することによって死滅させ、乳房内での再発を予防します。また、乳房切除術(全摘術)の後でも、わきの下<腋窩(えきか)>のリンパ節転移が4個以上、しこりが非常に大きいなど、再発のリスクが高い場合には切除後の胸壁に放射線療法が行われます。

放射線療法

放射線を照射する範囲は、温存手術後の場合には温存した乳房全体、切除術後に必要な場合には切除した部位(胸の外壁)と首の付け根(鎖骨上)のリンパ節になります。
手術後の放射線療法は、できるだけ早期(手術後20週以内)に開始することが勧められています。

ただし、抗がん剤療法との併用が必要な場合には、抗がん剤療法を先行し、その副作用からの回復を待って(1ヵ月程度)、放射線療法を開始します。
正常な細胞への影響を少なくするため、放射線の照射は少しずつ何回にも分けて行う必要があり、一般的に1回に1~2分の照射を週に5日、5週間程度かけて行います。

放射線療法の副作用と注意点

放射線療法の副作用は、ほとんどが放射線を照射した範囲内の皮膚炎に限られ、抗がん剤療法のような脱毛や吐き気などの強い全身症状は現れません。放射線照射による皮膚炎は治療中に現れ、赤くなる、ヒリヒリする、水ぶくれになる、黒ずむ、乾燥してカサカサになるなどの症状が起こります。治療後数ヵ月以内に、まれに放射線肺炎が起こることがあるので、咳や微熱が続く場合は医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。治療後数ヵ月以降は、副作用の発現頻度は少なく、あまり問題となりません。

なお、以下の点については、治療前に理解しておく必要があります。

  • 放射線を照射した側の乳房は、母乳を作る機能が失われます。
  • 放射線を照射した皮膚は弱く、硬くなるので、特にインプラントによる乳房再建は難しくなります。

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『ピンクリボンと乳がんまなびBOOK』発行/社会保険出版社 発売/主婦の友社,2013

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