ホルモン療法(内分泌療法)
乳がんの手術後には、再発を予防する目的で薬物療法が行われます。薬物療法には、ホルモン療法(内分泌療法)、抗がん剤療法(化学療法)、分子標的療法(抗HER2療法)の3種類があります。術後の検査でわかる再発のリスクや、患者さんの全身の状態、閉経前か後かなどを考慮して、いずれの方法で行うか、単独または併用で行うかを決定します。
ホルモン療法(内分泌療法)
乳がんの約7割では、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)またはプロゲステロン(黄体ホルモン)の刺激によってがん細胞が増殖します。ホルモン療法は、これら女性ホルモンの働きを抑える薬物療法であり、乳がんのサブタイプでホルモン受容体陽性に分類される乳がんに対して有効とされています。
乳がん治療で使われる主なホルモン療法剤は、下の表のようになります。
分類 | 適応 | 薬剤名 | 投与方法 | 投与期間 |
---|---|---|---|---|
抗エストロゲン剤 | 閉経前・後 | タモキシフェン | 毎日経口 | 5~10年 |
閉経後 | トレミフェン | |||
閉経後注) | フルベストラント | 初回、2週後、4週後、その後4週ごとに1回筋肉内注射 | 主治医に相談 | |
LH-RHアゴニスト製剤 | 閉経前 | ゴセレリン リュープロレリン |
4週または12週ごとに1回皮下注射 | 2~3年 |
アロマターゼ阻害剤 | 閉経後 | アナストロゾール エキセメスタン レトロゾール |
毎日経口 | 5年 |
黄体ホルモン剤 | 閉経前・後注) | メドロキシプロゲステロン | 毎日経口 | 主治医に相談 |
- 注)
- 進行・再発乳がんに適応
ホルモン療法の長所は抗がん剤療法に比べて副作用が少ないこと、短所は治療期間が長いことや治療中は妊娠できないことです。
主な副作用には、ホルモンバランスが崩れることによる更年期に似た症状(ほてり、のぼせ、発汗、関節痛、手のこわばりなど)があります。ホルモン療法剤が体質に合わない場合は、ほかの薬剤への切り替えを検討することができます。
<参考・協力>福田 護ほか:ピンクリボンアドバイザー認定試験公式テキスト
『ピンクリボンと乳がんまなびBOOK』発行/社会保険出版社 発売/主婦の友社,2013