自家組織による乳房再建の留意点
自家組織による乳房再建では、以下のような留意点があります。手術を受ける前によく理解し、納得することが大切です。
①手術時間・入院期間
移植する組織を体から採取する手術を行うため、手術時間が長くなり(4~8時間程度)、身体的負担が大きいので入院期間も長くなります(術後約2週間)。
②傷あと
体の組織を取った部分に、乳がんの手術以外の傷あとが残ります。
お腹の組織を移植する方法(腹直筋皮弁法、穿通枝皮弁法)ではお腹に30cm程度、背中の組織を移植する方法(広背筋皮弁法)では背中に15cm程度の傷あとになります。
③妊娠・出産の予定
お腹の組織を移植する方法(腹直筋皮弁法、穿通枝皮弁法)は、妊娠・出産の予定がある人には適していません。
④合併症のリスク
外科手術を行うので、感染症などのリスクを伴います。
また、お腹の組織を移植する方法の場合、お腹の筋肉量が減少して腹壁瘢痕ヘルニア(お腹の中の臓器が脱出する症状)、背中の組織を使った場合は移植した筋肉が時間とともに萎縮(廃用性萎縮)する可能性があります。
<参考文献>日本乳癌学会編:患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q.22, 金原出版を参考に作成(https://jbcs.xsrv.jp/guideline/p2023/gindex/40-2/q22/)(アクセス:2024年8月)
<監修>医療法人社団ブレストサージャリークリニック 院長 岩平 佳子先生