薬物療法
分子標的療法(抗HER2(ハーツー)療法など)
分子標的療法は、がん細胞を増殖させる働きをもつ分子を狙い撃ちする薬物療法です。その代表的なものが抗HER2療法です。近年、著しく発展している治療法で、他にも血管新生阻害薬、mTOR阻害薬、CDK4/6阻害薬、PARP阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬などがあり、それぞれの条件にあわせて乳がん治療に用いられています。
主な分子標的療法:
- 抗HER2療法
- 血管新生阻害薬
- mTOR阻害薬
- CDK4/6阻害薬
- 免疫チェックポイント阻害薬
- PARP阻害薬
抗HER2療法(トラスツズマブ、ペルツズマブ)
乳がん治療の手術前後の抗HER2療法で使われる主な薬剤は、トラスツズマブやぺルツズマブです。患者さんの15~20%では、がん細胞の表面に「HER2タンパク」というタンパク質があり(「HER2陽性」といいます)、このHER2タンパクによって乳がん細胞の増殖が促されると考えられています。トラスツズマブやぺルツズマブはHER2タンパクを標的として攻撃することで、がん細胞の増殖を抑えます。
トラスツズマブの投与方法:
- 1日1回、1週間間隔で1年間、又は
- 1日1回、3週間間隔で1年間、抗がん剤と併用して点滴します。
トラスツズマブの特徴
トラスツズマブのほか、ぺルツズマブ、ラパチニブ、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)などが使用されます。
<参考・協力>福田 護ほか:ピンクリボンアドバイザー認定試験公式テキスト 『ピンクリボンと乳がんまなびBOOK』
改訂版第2刷発行. 発行/社会保険出版社 発売/主婦の友社,p.105-106,2019
一般社団法人日本乳癌学会 HER2低発現乳癌に対するトラスツズマブ デルクステカン(商品名 エンハーツ)適応拡⼤についてのステートメント(患者負担または企業負担の場合)2023年3月30日(https://www.jbcs.gr.jp/uploads/files/T-DXd%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88.pdf)(アクセス:2024年8月)