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乳房再建術

お腹の組織を移植する方法

自家組織による乳房再建

患者さんの体の組織を胸に移植する方法を、「自家組織による乳房再建」といいます。
自然な形や、温かさ、柔らかさが得られるという長所がある一方で、手術時間や入院期間が長く、組織を取った部分に傷あとが残るという短所があります。

>主に「お腹の組織を移植する方法」と、「背中の組織を移植する方法」の2つに大きく分けられます。いずれの方法で行うかは、乳房のボリュームのほか、傷あとの位置や、妊娠・出産の予定、患者さんの希望などによって決定します。

お腹の組織を移植する方法

腹直筋皮弁法ふくちょくきんひべんほう穿通枝皮弁法せんつうしひべんほう

お腹の組織を移植する方法は、乳房のボリュームが比較的大きい人に適しています。さらに、「腹直筋皮弁法」「穿通枝皮弁法」の2つに分けられ、どちらの場合も下腹部に30cm程度の傷あとが残ります。また、どちらの方法も一度しか行うことができないため、将来反対側の乳房にもがんが発生した場合には、同じ方法での乳房再建ができない点に、注意が必要です。

腹直筋皮弁法

お腹の皮膚、脂肪、筋肉の一部に血管をつけた状態で胸に移植する方法です。
穿通枝皮弁法よりも手術時間は短く(4時間前後)、専門医のいる形成外科であれば多くの施設で受けられます。
筋肉を一部切り取るので腹筋が弱くなります。過去にお腹の手術を受けた人や、妊娠・出産を予定している人には適していません。

穿通枝皮弁法

お腹の脂肪だけを血管をつけた状態で取り出し、胸に移植する方法です注)。
高度な技術を要するため、手術時間は長く(6~8時間程度)、限られた施設でしか受けられません。
筋肉を切り取らないので、腹筋が弱くなることはありません。過去にお腹の手術を受けた人でも行うことができます。妊娠・出産を予定している人には適していません。

注)お尻や、足の付け根の内側の脂肪を移植する方法もあります。

図 お腹の組織による乳房再建術(腹直筋皮弁法)

図 お腹の組織による乳房再建術(腹直筋皮弁法)

<参考文献>日本乳癌学会編:患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q.22, 金原出版を参考に作成(https://jbcs.xsrv.jp/guideline/p2023/gindex/40-2/q22/)(アクセス:2024年8月)
<参考・協力>福田 護ほか:ピンクリボンアドバイザー認定試験公式テキスト 『ピンクリボンと乳がんまなびBOOK』
改訂版第2刷発行. 発行/社会保険出版社 発売/主婦の友社,p.91,2019

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